Concours

コンクール

Concours

国内外のピアノコンクール情報をまとめて紹介。

ピアノコンクール

世界の主要ピアノコンクール

優勝が世界的キャリアを約束する、世界8大ピアノコンクール。
歴史・特徴・著名な過去の優勝者まで詳しく解説。

ショパン国際ピアノコンクール

1927年〜 5年に一度 ワルシャワ・ポーランド ショパンのみ

歴史と特徴

世界最古のピアノコンクールの一つ。1927年に第1回が開催されて以来、5年ごとにワルシャワで開催されている(戦争中除く)。ショパンの作品のみで競うという独特な形式で、ショパンの故郷ポーランドの威信をかけた大会。優勝は世界的キャリアを完全に保証する。

会場・課題

ワルシャワ国立フィルハーモニーが会場。1次予選から本選(ピアノ協奏曲)まで4段階。すべてショパン作品。エチュード、ノクターン、マズルカ、バラード、スケルツォ、ピアノソナタ、協奏曲が課題。

近年の優勝者

1985スタニスラフ・ブーニン(ロシア)
2000ユンディ・リ(中国)
2005ラファウ・ブレハッチ(ポーランド)
2015チョ・ソンジン(韓国)
2021ブルース・リウ(カナダ)

日本人の入賞歴

2021年は反田恭平が2位、小林愛実が4位入賞という快挙。1970年は内田光子が2位入賞。日本人ピアニストにとって、ショパンコンクール上位入賞はキャリアの大きな転機となる。

チャイコフスキー国際コンクール

1958年〜 4年に一度 モスクワ・ロシア 5部門

歴史と特徴

1958年、ソ連が冷戦時代の文化的威信をかけて創設。第1回でアメリカ人ヴァン・クライバーンが優勝した「政治的事件」が今も語り草。ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・声楽・木管の5部門で実施。世界三大コンクールの一つ。

会場・課題

モスクワ音楽院大ホールが本選会場。チャイコフスキーの作品(特にピアノ協奏曲第1番)を課題に含むことが特徴。古典・ロマン派・ロシア音楽の幅広いレパートリーが要求される。

近年の優勝者

1958ヴァン・クライバーン(米)
2002アイウサ・チェニカ・他
2007三浦友理枝・他
2011ダニール・トリフォノフ(露)
2015ドミトリー・マスレエフ(露)
2019藤田真央(日本・2位)
2023セルゲイ・ダヴィドチェンコ(露)

近年の状況

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、欧米の権威ある音楽団体(World Federation of International Music Competitions)から除名され、国際的地位は揺らいでいる。ロシア国内の権威は依然として絶大。

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール

1962年〜 4年に一度 テキサス州フォートワース・米国 ピアノのみ

歴史と特徴

1958年のチャイコフスキーコンクール優勝者ヴァン・クライバーンを記念して、1962年に米国テキサス州で創設。「アメリカ最高峰のピアノコンクール」として、世界中の若手ピアニストが目指す。商業的にも成功しており、優勝者にはマネジメント契約・コンサートツアーが約束される。

会場・課題

フォートワースのバス・パフォーマンス・ホール。古典・ロマン派・現代まで幅広いレパートリー。本選はピアノ協奏曲(フォートワース交響楽団との共演)。

近年の優勝者

2009辻井伸行(日本)/ 張昊辰(中)
2013ヴァディム・ホロデンコ(ウクライナ)
2017ヨンチン・チャン(韓国)
2022イム・ユンチャン(韓国・18歳)

2009年の辻井伸行

盲目のピアニスト・辻井伸行が、中国の張昊辰と共に優勝した 歴史的な大会。日本のピアノ史に残る快挙として広く報道された。

リーズ国際ピアノコンクール

1963年〜 3年に一度 リーズ・英国 ピアノのみ

歴史と特徴

イギリスを代表するピアノコンクール。1963年、ファニー・ウォーターマンらが「英国にも一流のピアノコンクールを」と創設。「クラシック音楽の英国スタイル」の伝統を反映し、品格と精神性を重んじる審査が特徴。

会場・課題

リーズのグランド・シアター、ホール・タウンホール。バロック・古典・ロマン・近現代を網羅したレパートリーが課題。

近年の優勝者

1969ラドゥ・ルプー(ルーマニア)
1981イアン・ホブソン(米)
1990アーティス・トカチェフスキー
2003アントニー・シヴェルゲン(ロシア)
2018エリック・ルー(米)
2021アリム・ベイセンバエフ(ロシア)

エリザベート王妃国際音楽コンクール

1937年〜 毎年(部門ローテーション) ブリュッセル・ベルギー 4部門

歴史と特徴

1937年、ベルギー王妃エリザベートの後援で創設。ヴァイオリン・ピアノ・声楽・チェロの4部門でローテーションで開催。ピアノ部門は概ね4年に一度。世界三大コンクールの一つとして、最高峰の地位を保つ。

特徴

ファイナリストは 1週間隔離されて課題曲を譜読みする という独自のシステム(ベルギー作曲家による委嘱新作)。技術だけでなく、譜読み力・音楽性・忍耐力が試される過酷なコンクール。

近年のピアノ部門優勝者

1956ウラディーミル・アシュケナージ(露)
1968エカテリーナ・ノヴィツカヤ(露)
2007アンナ・ヴィニツカヤ(露)
2013ボリス・ジルバーシュタイン(露)
2016ルーカス・ヴォンドラチェク(チェコ)
2021ジョナサン・フォーニェル(カナダ)

ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール

1943年〜 不定期 パリ・フランス 3部門

歴史と特徴

ピアニストのマルグリット・ロンとヴァイオリニストのジャック・ティボーが1943年に創設。後にソプラノのレジーヌ・クレスパンの名も加わる。フランス最高峰のコンクール。フランス音楽の伝統を継承する。

特徴

パリ音楽院・サル・コルトーで開催。フランス音楽の課題曲が必須。ロン女史の弟子・系譜を継ぐ「フランス的ピアニズム」が高く評価される。

近年の優勝者

2001小山実稚恵(日本)
2004セヴェリン・フォン・エッカルツハウゼン
2011ロウ・ウェンウェン(中)
2019ジュリアン・トレヴェリアン(仏)

浜松国際ピアノコンクール

1991年〜 3年に一度 浜松・日本 ピアノのみ

歴史と特徴

1991年、浜松市制80周年を記念して創設。「ピアノの街」浜松の象徴的イベント。ヤマハ・カワイの本社所在地として、若手ピアニストの登竜門に。「日本最高峰のピアノコンクール」として国際的にも認知されている。

会場・課題

アクト・シティ浜松の大ホール。バロック・古典・ロマン・近現代を網羅した広範なレパートリー。日本人作曲家の作品が課題に含まれることも特徴。

近年の優勝者

2000アレクサンダー・コブリン(露)
2003ラファウ・ブレハッチ(ポーランド・後ショパン優勝)
2009チョ・ソンジン(韓・15歳)
2012イリヤ・ラシュコフスキー(露)
2018ジャン・チャクムル(トルコ)
2024ジョン・パング(米)

「世界デビューへの登竜門」

過去の優勝者・上位入賞者の多くが、後にショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールで活躍している。「ここで実績を作る」のが、若手国際ピアニストの戦略の一つ。

ブゾーニ国際ピアノコンクール

1949年〜 毎年(一部隔年) ボルツァーノ・イタリア ピアノのみ

歴史と特徴

1949年、作曲家・ピアニストのフェルッチョ・ブゾーニ生誕100周年を記念してイタリア・ボルツァーノで創設。「現代音楽への対応力」を重視するのが特徴で、20世紀以降の作品が課題に含まれる。

特徴

「該当者なし」を明示する厳しい審査で知られる。1990年代までは「該当者なし」が頻繁にあり、優勝の権威を高めた。近年は柔軟になっているが、技巧と知性の両立を厳しく問う伝統は健在。

近年の優勝者

1995ラルス・フォークト(独)
2007アレクサンダー・ロマノフスキー(ウクライナ)
2015アヴェリー・ガニエ(米)
2019エマヌエル・リムロディ(仏)
2023アルセニー・ムン(露)

コンクールを見る・聴く

多くの主要コンクールは YouTube公式チャンネルで全演奏を無料配信 しています。観客として現地に行くだけでなく、家からも世界トップレベルの若手ピアニストの演奏に触れられる時代です。

配信
YouTube公式
ショパン・チャイコフスキー・ヴァン・クライバーンなど主要コンクールは公式YouTubeで配信。
アーカイブ
過去の演奏も視聴可
過去の優勝者の演奏もアーカイブ視聴可能。学習・聴き比べに最適。
現地観戦
事前予約推奨
本選チケットは数ヶ月前から予約必須。1次予選は当日券もあることが多い。
「コンクール文化」について

ピアノコンクールは 純粋な音楽性の評価 だけでなく、コンクール固有の戦略・「映える」演奏、審査員と弟子の関係など、複雑な側面も持っています。「コンクール優勝=最も優れたピアニスト」とは限らない、という視点も大切です。詳しくは 業界の課題 で。