Glossary

音楽用語辞典

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演奏記号から楽式まで、ピアノ学習に必要な用語をやさしく解説。

強弱・速度

ppp
ピアニッシッシモ
pianississimo
ささやくよりも小さく。聴き手が呼吸を止める瞬間。

「極めて弱く」。p を 3 つ重ねた最弱の指示。耳を澄まして初めて届く音。

pp
ピアニッシモ
pianissimo
息をひそめるような音。秘密を打ち明ける時の声。

「とても弱く」。室内楽的な親密さ・夜の情景・内面的告白に使われる。

p
ピアノ
piano
落ち着いた語りかけ。日常会話くらいの強さ。

「弱く」。楽器名「ピアノ」も本来「ピアノ・フォルテ(弱く強く弾ける楽器)」の略。

mp
メゾピアノ
mezzo-piano
p より少し前へ。控えめだが届く声。

「やや弱く」。p と mf の中間。語りかけの中立的な強さ。

mf
メゾフォルテ
mezzo-forte
明るく前向きな歌声。多くの曲の基準となる強さ。

「やや強く」。mp と f の中間。普段の話し言葉より少し張った声。

f
フォルテ
forte
決意ある声。前進する意志、開かれた感情。

「強く」。古典派以降の標準的な「強い」音量。f が増えると(ff・fff)より強くなる。

ff
フォルティッシモ
fortissimo
胸から放たれる感情。劇場の隅まで届くエネルギー。

「とても強く」。クライマックス・怒り・歓喜の瞬間に。

fff
フォルティッシッシモ
fortississimo
限界を超える咆哮。ピアノの構造そのものが鳴る。

「極めて強く」。リスト・ラフマニノフ等の大作で稀に使用。

cresc. <
クレッシェンド
crescendo
光が射し込んでくる。感情の到来。

「だんだん強く」。記号は cresc. または開いていくヘアピン (<)。

dim. >
デクレッシェンド
decrescendo / dim.
光が引いていく。手放す感覚。

「だんだん弱く」。記号は dim. または閉じていくヘアピン (>)。ディミヌエンドも同義。

sf
スフォルツァンド
sforzando
突き刺さるような一閃。意識を覚ますショック。

「その音だけ突然強く」。アクセントよりも強い瞬間的な強調。

>
アクセント
accent
一歩前に踏み出す音。リズムの推進力。

「その音を際立たせる」。スフォルツァンドより穏やかな強調。

accel.
アクセラランド
accelerando
胸の鼓動が速まっていく。緊張の高まり。

「だんだん速く」。テンポを徐々に上げる。

rit.
リタルダンド
ritardando
歩調がゆるやかに沈む。終わりの予感。

「だんだん遅く」。曲の終止や転換点に多用。

a tempo
ア・テンポ
a tempo
止まっていた時間が再び流れ出す。

「元のテンポに戻して」。ルバートや rit. の後の指示。

rubato
ルバート
rubato
呼吸そのもののゆらぎ。歌うために借り、返す時間。

「自由なテンポで」(イタリア語で『盗まれた』)。表情のためにテンポを意図的に揺らす。ショパンの十八番。

𝄐
フェルマータ
fermata
時間が止まる一瞬。聴衆と演奏者が息を合わせる。

音符の上の半円と点。「適度に延長して」。実際の長さは演奏者の判断。

テヌート
tenuto
音を抱きしめるように保つ。重みのある優しさ。

音符の上の短い横線。「音価を保持して、しっかり長さを出して」。

スタッカート
staccato
雨粒のように軽い。音と音の間にある空気。

音符の上の点。「短く切って」。音価の半分以下で音を切る。

Ped.
ペダル指示
pedal markings
音が空気に溶けるか、消されるか。

Ped. でペダルを踏み、✻ で離す。スラーの上のラインも踏み替えの指示。

音符・休符・記譜

𝄞
ト音記号
treble clef
右手の世界。空のような高音域。

高音部譜表に置かれる記号。第 2 線(下から 2 番目)が「ト(G)」を示す。

𝄢
ヘ音記号
bass clef
左手の世界。大地のような低音域。

低音部譜表に置かれる記号。第 4 線が「ヘ(F)」を示す。

シャープ
sharp
半音上げる。光のひとさし。

音を半音高くする臨時記号。調号にも使われる。

フラット
flat
半音下げる。陰のひといろ。

音を半音低くする臨時記号。

ナチュラル
natural
本来の姿に戻す。中和の合図。

シャープ・フラットの効果を打ち消し、もとの音に戻す。

𝄪
ダブルシャープ
double sharp
全音上げる。特殊な調性での出来事。

音を全音(半音 2 つぶん)上げる。

♭♭
ダブルフラット
double flat
全音下げる。深い陰影。

音を全音(半音 2 つぶん)下げる。

𝅝
全音符
whole note
ゆっくり広がる円。4 拍ぶんの空間。

1 小節(4/4 拍子)すべてを満たす最も長い音価の一つ。

𝅗𝅥
二分音符
half note
棒を持った円。2 拍の歩み。

全音符の半分。2 拍ぶんの長さ。

四分音符
quarter note
歩く一歩。基本のリズム単位。

標準的な拍を表す音価。1 拍ぶん。

八分音符
eighth note
軽やかに走る。会話のテンポ。

四分音符の半分。連続するときは旗が連結される。

十六分音符
sixteenth note
せせらぎ。素早い装飾の連なり。

四分音符の 1/4 の長さ。連続するときは二重の旗で連結。

𝄻
休符
rest
音が消える時間。沈黙もまた音楽。

音を出さない指示。各音価に対応する休符が存在する。

タイ
tie
音と音をひとつにする。途切れない呼吸。

同じ高さの 2 音を繋ぎ、合計の長さで保持する。

スラー
slur
ひとつの息で歌う合図。フレーズの輪郭。

異なる高さの音群をまとめて滑らかに(レガートに)演奏する指示。

𝄆𝄇
反復記号
repeat sign
もう一度同じ場所へ戻る。舞曲・古典派ソナタで多用されるリフレインの構造。

区間を繰り返す指示。括った範囲を 2 回演奏する。

𝄌
コーダ
coda
曲の最後に付け加えられる結び。終止のための小さな旅。

「尾」の意。終結部を独立して示す記号。D.C. al Coda 等で使用。

D.C.
ダ・カーポ
Da Capo
「最初へ戻れ」。物語が円環する瞬間。

曲の冒頭に戻って演奏する指示。三部形式の中間で使われる。

D.S.
ダル・セーニョ
Dal Segno
「印(𝄋)に戻れ」。途中から再開する。

セーニョ記号(𝄋)まで戻って演奏する指示。

4/4
拍子記号
time signature
曲の歩幅を決める設計図。

1 小節の中の拍数(上)と 1 拍の単位(下)を示す。

演奏技術

legato
レガート
legato
なめらかな歌。一筆書きの美しさ。

「滑らかに繋げて」。一つひとつの音を切らず、息を継がずに演奏する技法。

スタッカーティッシモ
staccatissimo
弾けるような瞬発力。閃光のような短さ。

スタッカートよりも極端に短く。音価のごく一部だけを鳴らす。

cant.
カンタービレ
cantabile
ピアノが声楽になる瞬間。

「歌うように」。メロディを声楽のように歌わせる演奏法。ショパン・モーツァルトの真髄。

ξ
アルペジオ
arpeggio
ハープを弾く指の動き。和音をほどく。

和音を一度に弾かず、下から上へ(または逆)順番に弾く技法。「ハープのように」の意。

/
グリッサンド
glissando
鍵盤を駆け抜ける一瞬の風。

鍵盤を爪や指の腹で滑らせて、連続した音を出す技法。爆発的な効果を生む。

トレモロ
tremolo
震える光。緊張の持続。

2 つの音または同じ音を高速で反復し、震えるような効果を作る。

tr〜
トリル
trill
鳥のさえずり。装飾の代表選手。

主音と隣接音を高速で交互に弾く装飾音。バロック・古典派で多用。

𝆗
モルデント
mordent
一瞬よろめいて戻る。装飾の小さな揺れ。

主音 → 隣接音 → 主音 を素早く繰り返す装飾音。

ターン
turn
音の周りを回る装飾。優雅な揺れ。

主音の上下を順に通過する装飾音(上隣→主→下隣→主など)。

appo.
前打音
appoggiatura
本来の音にもたれかかる、ため息のような寄り添い。

本来の音の前に置かれる短い装飾音。長前打音と短前打音がある。

orn.
装飾音
ornament
音楽に華やかさを足す小さな細工。

本来の音に華やかさや意味を加える小さな音群。トリル、ターン、モルデント、前打音などの総称。

cpt.
対位法
counterpoint
複数の声が互いに語りかけ、響き合う構造。

独立した複数のメロディを同時に進行させ、調和させる作曲技法。バッハの真髄。

poly.
ポリフォニー
polyphony
教会の天井に響く複数の声。

「多声」。複数の独立した声部が同時に存在する音楽。対位法とほぼ同義に使われる。

homo.
ホモフォニー
homophony
メロディと伴奏のはっきりした関係。

「同声」。1 つのメロディに伴奏が付く音楽。古典派以降の主流。

Alb.
アルベルティ・バス
Alberti bass
古典派の典型的な左手の動き。安定したパルス。

左手の伴奏パターン「下→上→中→上」の繰り返し。モーツァルト K.545 が代表例。

scale
スケール
scale
音階。すべての出発点。

ハ長調・イ短調などの調性で並んだ音の連なり。指の独立性を養う基礎練習。

楽器構造

ハンマー
hammer

鍵盤を押すと弦を叩く木+フェルトの部品。フェルトの硬さで音色が大きく変わる。

アクション
action

鍵盤を押してからハンマーが弦を打つまでの一連のメカニズム。ピアノの命。

ダンパー
damper

弦の振動を止めるためのフェルト部品。鍵盤を離すとダンパーが弦に触れて音が止まる。

ダンパーペダル(右)
damper / sustain pedal

踏むとダンパーが全弦から離れ、音が伸びる。ピアノで最もよく使うペダル。

ソフトペダル(左)
una corda

踏むと音色が柔らかくなる。グランドではハンマー位置がずれ、アップライトではハンマーが弦に近づく。

ソステヌート(中央)
sostenuto pedal

踏んだ瞬間に押されている鍵盤の音だけを保持する特殊ペダル。グランドピアノに付属。

響板
soundboard

弦の振動を増幅する木の板。スプルースが多用される。ピアノの音色の決定要因。

鉄骨フレーム
iron frame

弦の張力(合計 20 トン以上)を支える金属骨格。1820 年代の発明で現代ピアノを可能にした。

88 鍵盤
88 keys

現代ピアノは 88 鍵(白鍵 52・黒鍵 36)。19 世紀後半に標準化。それ以前は 60〜85 鍵が一般的。

グランドピアノ
grand piano

弦が水平に張られた本格ピアノ。コンサート用 (D-274 等)、セミコン (C7 等)、家庭用 (C3 等) などサイズ別。

アップライトピアノ
upright piano

弦が垂直に張られた省スペース型。家庭用の標準。グランドより響きは小さいが整音された音色を持つ。

電子ピアノ
digital piano

サンプリング音源とハンマーアクション風の鍵盤を組み合わせた現代の楽器。住宅事情に合った選択肢。

音楽形式

ソナタ
sonata

独奏楽器のための器楽曲。通常 3〜4 楽章で構成。古典派・ロマン派の主要形式。

ソナタ形式
sonata form

「提示部 → 展開部 → 再現部」の 3 部構造。ソナタの第 1 楽章で典型的に使われる。

協奏曲
concerto

独奏楽器とオーケストラの対話による形式。ピアノ協奏曲はモーツァルト以来の伝統。

ノクターン
nocturne

夜の情景を描く小品。ジョン・フィールドが創始、ショパンが頂点に高めた。

エチュード
etude

本来は技術練習用。ショパン・リストはエチュードを芸術作品の地位に高めた。

前奏曲
prelude

本来はフーガなどに先立つ短い導入曲。後に独立した小品形式に。バッハ・ショパン・ドビュッシーの傑作。

即興曲
impromptu

「即興的な」雰囲気を持つ小品。シューベルト・ショパンが多くを残した。

バラード
ballade

物語性を持つ大規模ピアノ作品。ショパンが 4 曲を残し、形式を確立した。

スケルツォ
scherzo

「冗談」の意。3 拍子の活発な楽章。ベートーヴェン以降、メヌエットに代わって使われた。

マズルカ
mazurka

ポーランドの 3 拍子の民族舞踊。ショパンが芸術音楽に高めた。58 曲を残した。

ポロネーズ
polonaise

ポーランドの厳粛な 3 拍子舞踊。ショパンの「英雄」「軍隊」が有名。

変奏曲
variation

主題を様々に変化させて連ねる形式。バッハ「ゴルトベルク」、ベートーヴェン「ディアベリ」が頂点。

フーガ
fugue

主題が複数の声部で順番に登場し、対位法的に絡み合う形式。バッハの「平均律」が究極形。

カノン
canon

同じメロディを時間差で複数の声部が奏でる技法。「パッヘルベルのカノン」が有名。

幻想曲
fantasy

形式に縛られず、自由に展開する作品。シューマン・ショパンの傑作多数。

ラプソディ
rhapsody

民族的素材を自由に組み合わせた幻想的作品。リストの「ハンガリー狂詩曲」が代表。

組曲
suite

関連する複数の楽曲をまとめた作品。バッハの「フランス組曲」「イギリス組曲」が定番。

即興
improvisation

楽譜なしでその場で音楽を生み出す。バロック時代は演奏家の必須技能だった。

時代・流派

バロック
Baroque

1600〜1750 年。対位法・装飾的書法が特徴の時代。バッハ・ヘンデル・ヴィヴァルディが代表。

古典派
Classical

1750〜1820 年。明快な形式・対称性を重視した時代。ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンが代表。

ロマン派
Romantic

1820〜1900 年。個人の感情・自由な表現を重視した時代。ショパン・シューマン・リスト・ブラームスが代表。

印象派
Impressionism

和音を「色彩」として使う、19 世紀末〜20 世紀初頭の音楽潮流。ドビュッシー・ラヴェルが代表。

ミニマル
minimal music

シンプルなパターンの繰り返しと変化で構成する 20 世紀の様式。ライヒ・グラス・久石譲が代表。

現代音楽
contemporary music

20 世紀以降の前衛・実験的音楽の総称。無調・偶然性音楽・電子音楽など多様。

ピアノ史用語

フォルテピアノ
fortepiano

1700 年頃にクリストフォリが発明した初期ピアノ。現代ピアノとは音色も構造も大きく違う。

チェンバロ
harpsichord

ピアノ以前の鍵盤楽器。弦を爪で弾くため強弱が出せない。バッハの主力楽器。

クラヴィコード
clavichord

家庭用の小型鍵盤楽器。微細な強弱が可能だが音量は極小。バッハが家で愛用。

平均律
equal temperament

1 オクターブを 12 等分する音律。すべての調で演奏可能。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」で広まった。

純正律
just intonation

整数比で構成される自然な音律。特定の調では美しいが転調が困難。ピアノでは実用化されず。

絶対音感
absolute pitch

基準音なしで音の高さを当てる能力。6 歳前後までの訓練で身につくとされる。

相対音感
relative pitch

基準音から相対的に他の音を判断する能力。大人からでも訓練可能。音楽家には十分な能力。

暗譜
memorization

楽譜を見ずに演奏すること。リストが演奏会で初めて行ったとされる。今ではコンサートの標準。

初見
sight-reading

初めて見る楽譜をその場で演奏する能力。プロの伴奏者・指揮者に必須。

カデンツァ
cadenza

協奏曲などで、独奏者が技巧を披露する自由な部分。古典派時代は即興だったが、後に作曲されるように。

音符・記譜

  • ト音記号
  • ヘ音記号
  • シャープ
  • タイ
  • 反復記号
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演奏技術

  • レガート
  • アルペジオ
  • トリル
  • 対位法
  • スケール
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楽器構造

  • ハンマー
  • アクション
  • ダンパー
  • 響板
  • グランドピアノ
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形式

  • ソナタ
  • ノクターン
  • エチュード
  • フーガ
  • 変奏曲
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時代

  • バロック
  • 古典派
  • ロマン派
  • 印象派
  • 現代音楽
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ピアノ史

  • フォルテピアノ
  • チェンバロ
  • 平均律
  • 絶対音感
  • カデンツァ
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言葉を覚えると、音はもう一段くっきりする。