Composers

作曲家

Composer Profile

1653 – 1706 ドイツ バロック

ヨハン・パッヘルベル

「カノン」だけじゃない。J.S. バッハに直接影響したドイツ・バロックの巨匠。

生涯

1653 年、ニュルンベルクに生まれた。ウィーン・エアフルト・シュトゥットガルト・ニュルンベルクと各地でオルガニストを務め、ドイツ南部・中部のオルガン音楽伝統を確立した。

J.S. バッハの兄ヨハン・クリストフ・バッハの師であり、間接的に幼い J.S. バッハの音楽教育に影響を与えた。「南ドイツ・オルガン楽派」の最重要人物。

生前は「カノン ニ長調」よりも、オルガン作品・カンタータ・宗教合唱曲で名声を博した。1706 年、ニュルンベルクで 52 歳で世を去った。

人となり

パッヘルベルの人となりを示す 4 つの側面。

カノン
世界一有名な作品
「カノン ニ長調」は彼の代表作だが、実は生前あまり知られず、20 世紀に再発見された。
オルガン
南ドイツの巨匠
当時のドイツ南部最高のオルガン奏者として宮廷・教会で活躍。
バッハへの遺産
バッハ家との縁
J.S. バッハの兄を弟子に持ち、間接的にバッハの音楽教育に影響。
多作
実は膨大な作品
コラール前奏曲、フーガ、トッカータ、カンタータなど数百曲を残した。

一日のルーティン

バロック時代のオルガニストの一日は 教会と作曲の往復。日曜の礼拝が最大の山場。

5:00–7:00 起床、朝の祈り、朝食。
7:00–11:00 教会で朝の礼拝。オルガン演奏。
11:00–13:00 休憩、昼食。
13:00–17:00 作曲、楽譜整理、弟子への指導。
17:00–20:00 夕の礼拝、家族との時間。
20:00–22:00 読書(聖書・神学書)、就寝準備。

音楽スタイル

パッヘルベルの様式は 「明晰な対位法と歌うようなメロディの両立」。南ドイツ・オルガン楽派の伝統を確立。

コラール前奏曲 の形式を発展させた。プロテスタントの礼拝で歌う賛美歌(コラール)の旋律を、オルガンで装飾的に演奏する形式。これが後の J.S. バッハのコラール前奏曲に直接繋がる。

「カノン ニ長調」は 3 つのヴァイオリンと通奏低音 のために書かれた室内楽。一定の低音(パッサカリア)の上に、3 つの旋律がカノン(追いかけっこ)で展開する。20 世紀の結婚式定番曲となった。

全作品リスト(主要)

鍵盤・オルガン

  • コラール前奏曲集(70 曲以上)
  • フーガ集
  • トッカータ集
  • チャコーナ ヘ短調
  • パッサカリア ニ短調

室内楽・合奏

  • カノン ニ長調
  • ジーグ ニ長調(カノンと組曲を形成)
  • 組曲集

合唱・声楽

  • 宗教カンタータ多数
  • 「マニフィカト」
  • 結婚モテット

代表作品(ピアノで弾ける)

ピアノ史への貢献

「南ドイツ・オルガン楽派の確立者」。彼の「コラール前奏曲」の様式が、後の J.S. バッハのコラール前奏曲の直接的な祖型となった。間接的にバッハの音楽教育にも影響したことで、ドイツ・バロックの中央に位置する。「カノン ニ長調」は 20 世紀後半に再発見され、世界中で最も演奏されるクラシック曲のひとつとなった。

聖地巡礼

パッヘルベルゆかりの地は ニュルンベルク(生地・終焉の地)

教会
聖ゼーバルト教会(ニュルンベルク)
Albrecht-Dürer-Platz 1, 90403 Nürnberg
パッヘルベルが晩年オルガニストを務めた教会。彼が弾いたオルガンの後継機がある。
ニュルンベルク中央駅から徒歩 10 分。
墓所
聖ロッホ墓地(ニュルンベルク)
Großweidenmühlstraße 26, 90419 Nürnberg
パッヘルベルが眠る歴史的墓地。デューラーも近くに眠る。
ニュルンベルク中央駅から徒歩 20 分。

逸話

パッヘルベルの逸話は静かなドイツ・バロック教会音楽家の生活そのもの。

バッハ家との繋がり
J.S. バッハの兄ヨハン・クリストフ・バッハの音楽教師。J.S. バッハは 10 歳で兄に引き取られ、間接的にパッヘルベルの音楽を吸収した。
カノンの再発見
「カノン ニ長調」は生前ほとんど演奏されず、彼の死後 250 年以上忘れられていた。1968 年フランスの指揮者ジャン=フランソワ・パイヤールが録音したことで世界的ブームに。
結婚式の歴史
「カノン」が結婚式で広く使われるようになったのは 1980 年代以降。映画「普通の人々」(1980)で使われたことが転機。
オルガンの神童
若い頃から「指の魔術師」と呼ばれ、ウィーンの聖シュテファン大聖堂で副オルガニストを務めた。

影響関係

学習者にとって

カノン ニ長調(ピアノ編) は誰もが弾きたい憧れの曲。中級者向けの編曲版から入る。シャコンヌ ヘ短調(オルガン原曲・ピアノ編)は上級者向け、ピアノでもオルガンの厳粛さが伝わる。コラール前奏曲は対位法の入門に最適。