Composers

作曲家

Composer Profile

1861 – 1906 ロシア ロマン派後期

アントン・アレンスキー

チャイコフスキーの愛弟子。ラフマニノフ、スクリャービンを育てた優雅なロシア・ロマン派。

生涯

1861 年、ノヴゴロドの音楽一家に生まれた。9 歳から作曲を始め、サンクトペテルブルク音楽院でリムスキー=コルサコフに師事。

モスクワ音楽院の作曲科教授を 12 年務め、ラフマニノフ、スクリャービン、グリエール、レビコフらを育てた。後にロシア宮廷礼拝堂楽長に就任。

チャイコフスキーの影響を強く受けた優雅なロシア・ロマン派の様式を保ち、ピアノ三重奏曲第 1 番、組曲第 1 番(2 台ピアノ)が代表作。1906 年、結核とアルコール依存で 44 歳の若さでフィンランドで世を去った。

人となり

アレンスキーの人となりを示す 4 つの側面。

教育
伝説の教師
ラフマニノフ、スクリャービンの和声学・対位法の師。20 世紀ロシア・ピアノの基礎を築いた。
優雅
チャイコフスキー継承
チャイコフスキーの優雅な旋律美を継承。ロシア・ロマン派の最も洗練された後継者の一人。
連弾
2 台ピアノの傑作
「組曲第 1 番(2 台ピアノ)」は連弾の永遠の人気曲。
早世
44 歳の死
アルコール依存・結核・ギャンブル中毒で身体を壊し、44 歳で早世。リムスキー=コルサコフが哀悼。

一日のルーティン

アレンスキーの一日は 教授活動と作曲 の往復。社交的な性格で夜のサロンでの活動も多かった。

8:00–9:30 起床、朝食。
9:30–13:00 作曲。ピアノに向かいながら、室内楽・歌曲の楽譜を書く。
13:00–15:00 昼食、休憩。
15:00–18:00 モスクワ音楽院での授業。ラフマニノフ、スクリャービンらに教える。
19:00–21:00 夕食、家族との時間。
21:00–24:00 サロンで演奏、または社交。晩年はギャンブル・酒に時間を費やしてしまった。

音楽スタイル

アレンスキーの様式は 「チャイコフスキーの優雅さ + ショパンの繊細さ」。ロシア五人組の民族主義からは距離を置き、西欧的なロマン派様式を貫いた。

歌うような旋律 が彼の最大の魅力。「ピアノ三重奏曲第 1 番」のエレジー、「組曲第 1 番」の「ロマンス」は、19 世紀末ロシア最も美しい旋律と評される。

2 台ピアノ・連弾の傑作。「組曲第 1 番 Op.15」「組曲第 2 番(シルエット)Op.23」は連弾の永遠の人気曲。家庭音楽の最高峰。

全作品リスト(主要)

ピアノ独奏

  • Op.5 「2 つの小品」
  • Op.25 「6 つのカプリス」
  • Op.36 「24 のキャラクタピース」
  • Op.41 ピアノソナタ ヘ短調
  • Op.46 「夕暮れの夢」

2 台のピアノ・連弾

  • Op.15 組曲第 1 番(4 曲、「ロマンス」を含む)
  • Op.23 組曲第 2 番「シルエット」(5 曲)
  • Op.62 組曲第 3 番「変奏曲」

室内楽

  • Op.32 ピアノ三重奏曲第 1 番 ニ短調
  • Op.73 ピアノ三重奏曲第 2 番 ヘ短調
  • Op.35 ピアノ四重奏曲 ヘ長調

代表作品(ピアノで弾ける)

ピアノ史への貢献

「20 世紀ロシア・ピアノの父」。ラフマニノフ、スクリャービン、グリエールというロシア・ピアノ史の中核を直接教育。彼らの和声・対位法はすべてアレンスキー経由。「2 台ピアノのレパートリー」 確立も彼の貢献。家庭音楽としての連弾を芸術音楽の水準に引き上げた。

聖地巡礼

アレンスキーゆかりの地は モスクワ(活動地)・サンクトペテルブルク(学んだ地)

教育機関
モスクワ音楽院(モスクワ)
Большая Никитская улица, 13, Москва
彼が 12 年教えた音楽院。ラフマニノフ、スクリャービンを育てた教室がある。
モスクワ地下鉄 Okhotny Ryad 駅から徒歩 5 分。
墓所
ノヴォデーヴィチ墓地(モスクワ)
Новодевичий проезд, 1, Москва
ロシア音楽家の聖地。チャイコフスキー、ラフマニノフと同じ墓地。
モスクワ地下鉄 Sportivnaya 駅から徒歩 10 分。

逸話

アレンスキーの人生は栄光と転落のロシア・ロマン派の悲劇。

チャイコフスキーへの追悼
1894 年、チャイコフスキー追悼のためにピアノ三重奏曲第 1 番を作曲。「エレジー」は彼の最も美しい旋律。
ラフマニノフへの影響
ラフマニノフはアレンスキーの和声に深く影響を受けた。「あの先生から私は和声の魔術を学んだ」と回想。
スクリャービンとの確執
スクリャービンの初期作品を批判し、関係が悪化した。スクリャービン自身は後にアレンスキーの教えを認めた。
44 歳の死
アルコール依存・結核・ギャンブル中毒で身体を壊し、フィンランドで療養中に死去。リムスキー=コルサコフが「彼は忘れられない」と追悼。

影響関係

学習者にとって

組曲第 1 番「ロマンス」(連弾) は中級者の人気曲。家族や友人と連弾で楽しめる名曲。「24 のキャラクター・ピース」 Op.36 から好きな曲を選ぶ。上級者は ピアノソナタ Op.41 または ピアノ三重奏曲 Op.32 に挑戦。