Composers

作曲家

Composer Profile

1904 – 1987 ロシア/ソ連 20 世紀

ドミトリー・カバレフスキー

世界の子どもたちのピアノ教育を変えた、ソ連音楽教育の父。

生涯

1904 年、サンクトペテルブルクに生まれた。モスクワ音楽院でミャスコフスキーに作曲を学び、後に同音楽院の教授となった。

ソ連音楽家同盟の指導的立場として、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、プロコフィエフらの同世代と活動。共産党体制とは比較的良好な関係を保った。

ピアノ教育曲の革命家として「24 の前奏曲 Op.38」「ソナチネ Op.13」「子供のためのアルバム Op.39」「24 の小品集 Op.39, 40, 60」など世界中で愛奏される教育曲を多数残した。1987 年、モスクワで 83 歳で世を去った。

人となり

カバレフスキーの人となりを示す 4 つの側面。

教育
ピアノ教育の革命
20 世紀の世界中のピアノ教育を変えた教育曲の作曲家。バルトーク「ミクロコスモス」と並ぶ巨大遺産。
多作
600 以上の作品
ピアノ曲・協奏曲・交響曲・オペラ・映画音楽・歌曲など、生涯で 600 以上の作品を残した。
体制
安定したソ連音楽界の重鎮
党と良好な関係を保ち、ソ連音楽教育の指導的立場で活動。
協奏曲
若者協奏曲
ピアノ協奏曲第 3 番「若者」は世界中のジュニア・コンクールで愛奏される。

一日のルーティン

カバレフスキーの一日は 「教授・作曲・行政」 の三役を生涯両立。

7:00–8:30 起床、朝食、家族との時間。
8:30–12:30 作曲。子どものための小品から、オペラ・交響曲まで。
12:30–14:30 昼食、休憩。
14:30–18:00 モスクワ音楽院での教授職、作曲家同盟の会議。
18:00–20:00 夕食、家族との時間。
20:00–22:00 読書、楽譜整理、新作の構想。

音楽スタイル

カバレフスキーの様式は 「分かりやすく、楽しく、しかし高品質」。20 世紀的な不協和音や複雑なリズムを取り入れつつ、子どもが弾ける範囲に収める天才的バランス感覚。

調性を保ちながら現代的な響き。彼の小品は明確な調性とテーマを持ち、子供にも歌える旋律。同時にロシア民族音楽の影響を強く受けたリズムや、20 世紀的な和音の使用。

教育曲としての完成度。Op.27, 39, 40, 60 などの小品集は、技術的な進歩と音楽的な楽しさを完璧に両立。「クラウンズ(道化師)」「ギャロップ」「マーチ」など、子どもの想像力を刺激する曲名。

全作品リスト(主要)

ピアノ独奏

  • Op.13 ソナチネ ハ長調
  • Op.27 ピアノのための 6 つの小品
  • Op.38 24 の前奏曲
  • Op.39 子供のためのアルバム(30 の小品)
  • Op.40 「6 つの小品」
  • Op.60 「6 つの小品」

協奏曲

  • Op.9 ピアノ協奏曲第1番
  • Op.23 ピアノ協奏曲第2番
  • Op.50 ピアノ協奏曲第3番「若者」

大規模

  • オペラ「コラ・ブルニョン」
  • 交響曲(4 曲)
  • チェロ協奏曲(2 曲)

代表作品(ピアノで弾ける)

ピアノ史への貢献

「20 世紀の世界中のピアノ教育を変えた」 教育曲の作曲家。バルトーク「ミクロコスモス」と並ぶ 20 世紀ピアノ教育の二大遺産。子供のための小品でありながら、本格的な現代音楽の素材を含む。アメリカ・ヨーロッパ・日本・中国 — すべての国でピアノ教室の必修曲となっている。

聖地巡礼

カバレフスキーゆかりの地は サンクトペテルブルク(生地)・モスクワ(終生の活動地)

教育機関
モスクワ音楽院(モスクワ)
Большая Никитская улица, 13, Москва
彼が学び、教えたモスクワ音楽院。資料が図書館に保管。
モスクワ地下鉄 Okhotny Ryad 駅から徒歩 5 分。
墓所
ノヴォデーヴィチ墓地(モスクワ)
Новодевичий проезд, 1, Москва
ロシアの偉人が眠るモスクワ最大の墓地。ショスタコーヴィチ、プロコフィエフも近くに眠る。
モスクワ地下鉄 Sportivnaya 駅から徒歩 10 分。

逸話

カバレフスキーの逸話はソ連音楽教育の指導者としての姿勢に集中する。

「クラウンズ」の世界化
Op.39-20「クラウンズ」は世界中の中級者ピアノ発表会で必修となり、20 世紀後半最も演奏された子供向けクラシック曲のひとつ。
日本の音楽教育
日本では昭和 40 年代以降、ヤマハ・カワイの教則本に多数収録され、世代を超えて愛奏される。
協奏曲第3番「若者」
「子供のための協奏曲」を意図して書いた史上初の本格的ピアノ協奏曲。世界中のジュニア・コンクールの定番。
教育論
「子供を子供扱いするな。本物の音楽だけが子供を成長させる」が口癖。

影響関係

学習者にとって

Op.39「子供のためのアルバム」 は初中級者の永遠の定番。「クラウンズ Op.39-20」「ギャロップ Op.39-18」は子どもピアノ発表会の人気曲。ソナチネ Op.13-1 は中級者の本格ソナチネ入門。24 の前奏曲 Op.38 は上級者向け、ロシア風の和声を学べる。