生涯
1937 年、ソ連・ウクライナのゴルロフカに生まれた。モスクワ音楽院でアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル(ラフマニノフの弟子)に師事し、本格的なクラシック・ピアノを学ぶ。
20 代でジャズに目覚め、オレグ・ルンドストレム楽団のピアニストとして 11 年間活動。クラシックの厳密な構造と、ジャズの即興・スウィングを完全に融合させた独自のスタイルを確立。
ピアノソナタ 20 曲、ピアノ協奏曲 6 曲、無数の練習曲・小品。21 世紀に入って急速に世界中で人気が高まった。2020 年、モスクワで 82 歳で世を去った。
人となり
カプースチンの人となりを示す 4 つの側面。
一日のルーティン
カプースチンの一日は 「作曲とジャズ・ピアノの練習」。生涯シンプルな生活を送った。
音楽スタイル
カプースチンの様式は 「完全に書き出されたジャズ」。即興のように聞こえるが、すべて楽譜に正確に書かれている。クラシックの厳密な構造とジャズの自由な響きの融合。
「即興のような楽譜」:ジャズ・ピアニストが即興で弾いているように聞こえる音楽を、完全に楽譜で書き出した。これにより、世界中のクラシック・ピアニストが「ジャズらしさ」を弾けるようになった。
ピアノ書法の革新:オスカー・ピーターソン、アート・テイタムらジャズ・ピアニストの技法を、クラシック・ピアノ書法に翻訳。両手の独立、複雑な内声、ブルー・ノートの巧みな使用。
全作品リスト(主要)
ピアノソナタ(20 曲)
- Op.39 ソナタ第1番
- Op.59 ソナタ第2番
- Op.85 ソナタ第8番
- Op.106 ソナタ第10番
- Op.115 ソナタ第13番
ピアノ協奏曲(6 曲)
- Op.2 ピアノ協奏曲第1番
- Op.14 ピアノ協奏曲第2番
- Op.50 ピアノ協奏曲第3番
- Op.56 ピアノ協奏曲第4番
- Op.72 ピアノ協奏曲第5番
独奏曲集
- Op.40 8 つの演奏会用練習曲
- Op.41 24 の前奏曲
- Op.53 24 の前奏曲とフーガ
- Op.117 「ボッサノヴァ」
代表作品(ピアノで弾ける)
ピアノ史への貢献
「ジャズとクラシックの完全融合」 を成し遂げた稀有な作曲家。それまでガーシュウィン、ストラヴィンスキー、ラヴェルがジャズを部分的に取り入れたのに対し、カプースチンは 「クラシック・ピアニストがジャズの完全な音楽体験を弾ける楽譜」 を発明した。21 世紀の若いピアニストが世界中で愛奏する「現代の発見」。
聖地巡礼
カプースチンゆかりの地は モスクワ。生地ゴルロフカは現在のウクライナ内。
逸話
カプースチンの逸話は「ジャズと共産党体制の狭間」の物語。
影響関係
学習者にとって
Op.40 No.1「前奏曲」 は中上級者の登竜門。短いがジャズとクラシックの完璧な融合を体感できる。Op.40 No.3「トッカティーナ」、No.5「冗談」 も人気。Op.41-1, 41-2 は中級者向けの前奏曲。クラシック・ピアニストが「ジャズらしさ」を最も気持ちよく学べる作品群。